iDeCo(個人型確定拠出年金)の税務上の取扱い
制度の概要
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、任意に加入することのできる確定拠出年金法に基づく私的年金制度です。
iDeCoに加入した場合、掛金を拠出して、自分自身で運用方法を選んで掛金を運用し、掛金とその運用益との合計額を将来、老齢給付金として受け取ることになります。
IDeCoでは、掛金拠出時、運用時、給付を受け取るときに、それぞれ税制上の優遇措置が講じられています。
近年では将来の資産形成や節税効果の高さなどから加入者が増加傾向にあり2016年の約25万人から2020年には約155万人と4年間で約6倍にも増加しています。
加入対象者
基本的には、20歳以上60歳未満の全ての人が加入することができますが、企業型確定拠出年金に加入している人は、企業型年金規約でiDeCoに同時加入できる旨を定めている場合のみ加入することができます。なお、加入資格によって拠出限度額は、月額12000円から月額68000円まで異なることになります。
掛金拠出時の税務上の取扱い
拠出した掛金については、その全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象となります。
なお、社会保険料控除とは異なり、小規模企業共済等掛金控除の対象となるのは本人の掛金のみで、同一生計の配偶者、親族の掛金を控除することはできません。
運用時の税務上の取扱い
一般的に金融商品の運用益については、課税対象(20.315%の税率による源泉分離課税)となりますが、確定拠出年金制度内での運用益については、非課税とされています。
老齢給付金の受給
iDeCoの年金資産は、老齢給付金として原則として60歳から受け取ることができますが、個人型確定拠出年金に加入していた通算加入者等期間が10年未満の場合には、その通算加入者等期間に応じて、61歳(通算加入者等期間が8年以上10年未満の場合)から65歳(通算加入者等期間が1月以上2年未満の場合)まで受給開始年齢が繰り下げられます。
老齢給付金の受取については、
①一時金として一括で受け取る方法
②有期年金(5年以上20年以下の期間で、運営管理機関が定める期間)として受け取る方法
③一時金と年金を組み合わせて受け取る方法(運営管理機関が取り扱っている場合)があります。
給付時の税務上の取扱い
受給年齢に到達して、確定拠出年金を一時金で受給する場合には、退職所得として退職所得控除の対象となります。
また、年金で受給する場合には、公的年金等に係る雑所得として、公的年金等控除の対象となります。
脱退一時金
iDeCoは、原則、60歳まで資産を引き出すことができません。
ただし、一定の要件を満たしている場合には、60歳未満でも脱退一時金として資産を受け取ることができます。
脱退一時金については、一時所得として課税対象となります。