中小法人の電子申告利用率および大法人の電子申告義務化
はじめに
大法人の電子申告義務化実施が令和2年4月1日からなされることと相まって、中小法人の電子申告義務化が視野に入ってきています。
中小法人の電子申告利用率
国税庁は平成30年度の中小法人の電子申告利用率を法人税84%、消費税83%と発表し、令和元年度では目標としている85%以上の達成は可能であるとの考え方を報告しています。加えて、現状では必ずしも電子申告を行える環境が整っていなくても、将来的には検討されるものと承知しているなどとしています。中小法人の電子申告義務化については、その環境が整っていることが大前提となります。
平成28年度版中小企業白書
この白書によると、中小法人で記帳の際にパソコンを利用していない中小法人が約20%、パソコンを利用していても会計ソフトを利用せずに記帳している中小法人が約30%あるとされています。さらにITを利用しないで記帳している中小法人も一定程度存在していると考えられます。
大法人の電子申告義務化
大法人の電子申告義務化については、既に電子申告に対応している法人を含めて、対象となる資本金1億円超の法人においては、その対象となることを示す「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」の提出の必要があります。本年4月1日以後最初の開始事業年度に義務化対象となる場合には、当該事業年度開始の日以後1カ月以内(新設法人は設立の日から2カ月以内)が届出書の提出期限となります。この届出書は義務化対象法人に該当した際に提出すればオーケーで、継続的に毎期提出する必要はありません。
中小法人の電子申告義務化の動向について
大法人の電子申告義務化に伴い、法人税等の申告データを円滑に提出できるよう環境整備が進められており、利便性の向上に向けた施策が順次実施されます。なお、これらの施策は、電子申告が義務化されない中小法人にも適用されます。
中小法人の電子申告義務化については、大法人の履行状況等がおおいに参考になることが見込まれますので、その動向が注目されます。