不動産管理料の税務上における適正額
不動産会社の設立による節税
貸付け不動産を所有する個人が、不動産管理会社の設立によって不動産所得を節税する方式がありますが、この不動産管理会社の種類には次の3つが挙げられます。
(1)管理会社方式
管理会社方式とは、不動産を所有する個人が従来自分で行ってきた不動産管理業務を不動産管理会社に業務委託して管理料を支払う方式です
(2)サブリース方式
サブリース方式とは、不動産を所有する個人が不動産を会社に一括で貸し付け、更にその会社が第三者に転貸する方式です。
(3)会社保有方式
不動産を所有する個人から会社が建物等を売買契約により買い取ってしまう方式です。
今回は、税務上における不動産管理料の適正額について、裁判例を参考に検討します。
国税庁の考え方
平成12年9月6日・課所6-46による内部の(指示)で次のような見解を示しています。
「不動産所得を有している個人が、自己又は親族の主宰する不動産会社を設立し、その不動産管理会社に高額な管理料を支払うなどしている場合における当該管理料又は管理料率については、目安となる適正額等といったものはないのであり、委託する管理業務の内容、事業規模や収益の状況等個々の実態に応じて適切に取り扱うよう周知・徹底されたい」
裁決例
平成13年9月25日付裁決で、25%の管理料を支払っていた事例に対して、審判所は20%を相当とし、不動産管理料(管理料割合20%)を必要経費と認めました。
裁判例
平成13年9月10日付東京高裁判決で、比準同業者の平均管理料割合(10%前後)には合理性があるとされた事例です。比準同業者の管理料割合の平均値(平成4年分10.4%、同5年分9.78%、同6年分10.08%)を適正管理料割合と判断しました。
留意点
裁決例と裁判例では相反する判断が示されていますが、この類型は、実態が伴ってはじめて合理的方式と認められる点、十分注意しなければなりません。更に法人を活用する場合には、法人の税務申告等新たな事務負担が増えますので総合勘案して決定することをお勧めします。