印紙税の課税に関する基本知識
課税文書
印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書ですが、課税文書とは次の三つに当てはまるものです。
①印紙税法(課税物件表)に掲げられている二十種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること
②当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
③印紙税法により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと
なお、課税文書に該当するかどうかの判定は、文書に記載されている個々の内容について、形式的な記載文言ではなく、その記載文言の実質的な意義に基づいて行います。
納税義務の成立
印紙税の納税義務は、課税文書を作成した時に成立することになり、課税文書の作成とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙などに課税事項を記載し、これをその文書の目的に従って行使することをいいますので、「作成の時」は、その文書の種類等に応じた行使の態様によって次のとおりになります。
①受取書(領収証)など相手方に交付する目的で作成される課税文書については、交付の時
②各種契約書など契約当事者の意思の合致を証明する目的で作成される課税文書については、証明の時
③預貯金通帳など一定事項の付け込みを証明することを目的として作成される課税文書については、最初の付け込みの時
納税義務者(課税文書の作成者)
印紙税の納税義務者は、課税文書の作成者です。
課税文書の作成者(法人の役員等がその法人などの業務または財産に関して作成したものについては、役員等が作成名義人となっていても、その法人)となります。
印紙税の納付方法
課税文書の作成者は、原則として、課税文書に課されるべき印紙税相当額の収入印紙を貼り付ける方法により印紙税を納付することになります。この場合には、印章または署名で、その課税文書と印紙の彩紋とにかけて、消印(割印)する必要があります。
なお、大量の課税文書作成や継続作成の場合には、税印押なつ機による納付、印紙税納付計器の使用による納付、書式表示による納付、預貯金通帳等に係る一括納付の方法があります。
納税地(作成の場所)
印紙税の納税地は、課税文書の作成場所となります。課税文書上に作成場所が明らかにされているものについてはその作成場所、課税文書上に作成場所が明らかにされていないものについては、本店所在地等が納税地となります。
なお、印紙税法は日本の国内法ですから、その適用地域は日本国内(法施行地)に限られることになり、課税文書の作成場所が日本国外(法施行地外)である場合には、たとえその文書に基づく権利の行使が日本国内で行われるとしても、あるいは、その文書の保存が日本国内で行われるとしても、印紙税は課税されません。
電子文書は不課税
電子文書には印紙税は課税されません。印紙税が課税されるのは、印紙税法に定められている課税文書です。書面による文書でない電子文書は課税文書に該当しないことから印紙税は不課税となります。
この電子文書については、印紙税の節税やペーパレス化などの観点において大きなメリットがあります。例えば、会社設立時において作成する定款について定款認証の印紙税が4万円必要となりますが、電子定款にすることにより印紙税4万円を節約することができます。
このように電子文書には様々なメリットがあることから今後、普及が進んでいくものと思われます。