中小企業者等が利用できる少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

概要

この特例は、青色申告書を提出する中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を取得等して事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額を損金算入することができる制度です。

対象となる法人

適用対象となる法人は、青色申告書を提出する中小企業者または農業協同組合等で、常時使用する従業員数が1000人以下の法人です。

平成3141日以後に開始する事業年度における中小企業者とは、次のいずれかの法人をいいますが、適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等)に該当するものは除かれます。

(1)資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人

※ただし、その発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を、同一の大規模法人に所有されている法人、3分の2以上を、複数の大規模法人に所有されている法人は、除かれます。

(2)資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1000人以下の法人

大規模法人

大規模法人とは、次に掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社は除かれます。

(1)資本金のまたは出資金の額が1億円を超える法人

(2)資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1000人を超える法人

(3)大法人(資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人等)との間にその大法人による完全支配関係がある法人

(4)100%グループ内の複数の大法人に発行済株式または出資の全部を直接または間接に保有されている法人

適用対象となる資産

この特例の対象となる資産は、取得価額が30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)ですが、適用を受ける事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円を超えるときは、その取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額が限度となります。

取得価額30万円未満の判定

消費税の税込価額または税抜価額のどちらで取得価額30万円未満の判定をするかというと、その事業者が採用している消費税の経理処理により判定します。

適用を受けるための要件

この特例の適用については、事業の用に供した事業年度において、少額減価償却資産の取得価額に相当する金額について損金経理するとともに、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付して、申告することが要件となっています。

重複適用

この特例の適用を受ける資産は、租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳との重複適用はできません。

取得価額が10万円未満のものまたは一括償却資産の損金算入制度の適用を受けるものについても対象外です。

節税対策としての効果

通常、減価償却資産を購入して事業の用に供した場合、その取得した減価償却資産の法定耐用年数を期間按分して減価償却費を計算します。

決算直前に30万円未満である減価償却資産を取得等した場合において、少額減価償却資産の特例を適用すれば、取得価額の全額を損金算入することができるので、決算直前の対策として有効な節税対策になるといえます。

 

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