平成30年分における国外財産調書の提出状況
国外財産調書制度の創設の趣旨
平成24年度税制改正において、適正な課税、徴収の確保を図る観点から、国外財産を保有する方からその保有する国外財産に係る調書の提出を求める制度として、「国外財産調書制度」が創設され、平成26年1月から施行されています。
概要
この調書の提出件数は、前年比4.3%増の9961件でした。提出義務の要件は、その年の12月31日において、その価額の合計額5000万円を超える国外財産を有する者は、その国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載したこの調書を翌年の3月15日までに提出しなければならないとの内容です。
令和元年6月末現在で平成30年分のこの調書の提出件数を局別にみると、東京局が全体の64・4%を占め、6413件、次いで大阪局が同14.1%の1405件となっています。総財産額は、全体で3兆8965億円となっており、東京局が全体の73%を占め、東京局に集中しています。
財産の種類別総額
財産の種類では、有価証券が全体の54.2%を占め金額で2兆1135億円となっています。前年比9.8%増となっています。次いで、預貯金が同7%減の5771億円で全体の14.8%、建物が同7.9%増の4360億円で全体の11.2%となっています。
特別措置等
適正な提出を確保するために次のような措置等が設けられています。
①加算税の軽減措置
提出された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても加算税を軽減(5%)する措置
②加算税の加重措置
調書の提出がない場合又は提出された調書に記載のない国外財産に係る所得税の申告漏れが生じたときには、加算税を加重(5%)する措置
③罰則の適用
正当な理由なく期限内に提出がない場合又は虚偽記載の場合に、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金の措置。国税庁は、今回の報告で③の故意の不提出での初の告発事例も公表しております。