所得税における家事費と家事関連費
最近では、兼業や副業を認める会社が多くなってきました。ただ、給与所得の他に20万円を超える所得がある場合は、確定申告が必要となります。この所得の多くは、事業所得や不動産所得・雑所得になるケースが多いと思われますが、その計算は、総収入金額から必要経費の金額を控除して計算することになります。
必要経費の考え方
必要経費に算入される金額は「収入を得るために直接要した金額」(代表例・売上原価)および「所得を生ずべき業務について生じた費用」(販売費・一般管理費)とされています。特に販売費等については12月末日までに支払義務・当該金額の双方が確定している債務確定基準が必要となります。
家事費
個人は、生活をするために収入を得なければなりませんが、支出のうち、生活に関する費用を家事費といいます。この家事費は当然に必要経費には該当しません。ただし、取引の記録などに基づいて、業務遂行上必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額は家事関連費となります。
家事関連費
端的には、家事費と必要経費の双方の性質を持つのが家事関連費です。所得税基本通達がその考え方の基本を示していますが、その判定は厄介です。すなわち「その業務の内容、経費の内容、家族及び使用人の構成、店舗併用の家屋その他の資産の利用状況を総合勘案して判定する」と規定されています。
公表裁決事例等
家事費、家事関連費についての判断につきいくつかの裁決事例が公表されています。
①ロータリークラブの会費は事業所得の金額の計算上必要経費の額に算入することはできない。
②医師が医院建築資金を銀行から借り入れる際に締結した生命保険契約に係る支払保険料は、家事上の経費に該当し、事業所得の金額の計算上必要経費とはならない。
最後に
家事関連費は、納税者の主観的判断が入りやすいことから、家事費と必要経費部分とを明確に区分しておく必要があります。建物の使用面積割合による按分、あるいは就業時間による按分といった、できる限り客観的な基準によって区分するとともに、その根拠となる資料を備えておくことが大切です。