「機械及び装置」と「器具及び備品」の判定
用語の意義
「機械及び装置」と「器具及び備品」との区別を巡る裁判事例は沢山あります。「機械及び装置」と「器具及び備品」について法令等に定義規定が無いこと、国語辞典をみても、機械、装置、器具、備品の各意義は述べられているものの、「機械及び装置」「器具及び備品」とセット化された言葉になると意義は見出せないことなども原因です。
例えば、器具備品の中に医療機器として13項目の耐用年数が示される一方、機械装置としての医療機器が病院施設として存在していて、その区別の厳密な境界線は必ずしも明らかではありません。
耐用年数通達や税実務においては、その多くが資産区分の判断を規模、構造、用途を中心とした分類により行っている一方、機械装置の耐用年数の方は、製造設備や業務用の機器等につき、多様性を排して、加重平均的に算定された耐用年数で一律に処理する事とされています。
過去の裁判における判決
過去の判決の共通項としては、器具備品は「基本的には単体で個別に作動するものであり、他の機器と一体となって設備を形成し、その一部として各機能を果たすものではない」とされ、逆に機械及び装置は、「他の資産と一体となって設備を形成し、当該設備の目的を果たすために、当該設備の一部としてその機能を果たすもの」とされ、また、機械装置でないものは器具備品とされていました。
従来は、機械装置ではなく器具備品に該当するので、特別償却や税額控除は認められない、という判決が多かったところです。ところが、最近の判決で、大きなビルの店舗街の一角で製造販売している食品店の冷蔵庫が器具備品ではなく製造設備の一部としての機械装置に該当すると更生され、訴訟で敗訴しているものがあります。一体、一部ということが強く意識されての判断と言えます。
ところが、他の資産と一体となっての使用ではなく、個々の独立した使用を前提としているコインランドリーの洗濯機などが、平成20年の改正で機械装置の中に分類変更され、耐用年数が倍に長くなっています。これなどは、一体、一部ということが逆に意識から排除されての処置のように見えます。
終わりに
機械装置か器具備品のどちらに該当するかで租税特別措置法における特別償却や税額控除の適用に関する取扱いが異なることになり、納税者の税負担にも直接影響することから、この資産区分の重要性は増しているといえます。実務上においても機械装置と器具備品の資産区分を判断する場合には、慎重に検討を重ねて適切な判断をしなければなりません。
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